木津川ならこの店かも

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発行日 平成27年6月12日

京都市以外のグルメ情報を拡充する企画として、これまで亀岡市・宇治市・舞鶴市・福知山市・綾部市とタウン特集のコーナーを設けてきた。第六弾は木津川である。

あわさい・薬膳幕の内

木津川市は、平成19年(2007)に相楽郡の木津町・加茂町・山城町の3町が合併して誕生した、まだ新しい市である。市の名前は、この地を流れる木津川からとられている。

歴史的に見れば、古墳時代には3世紀末に山城地方最大の前方後円墳椿井大塚山古墳が造られ、奈良時代には恭仁京が置かれた(その後、国分寺が置かれた)人文の古い地域であるが、現在の木津川の特徴をひとことで言えば、ニュータウンに尽きる。

このエリアは京阪奈にまたがる丘陵地帯に開発された新しい広域都市、関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)である。木津川市はその京都側を、隣りの精華町とともに構成している。このニュータウンは学研都市の企業や研究施設の住居地区として構想されたもので、すべてが高級住宅地ではないにせよ、区画も大きく取られており、道路も広く、ニュータウン全体が明るく美しくて、いかにも中流階層の町という雰囲気を感じさせる。JR木津駅の南東エリアと近鉄高の原駅の周辺がもっとも大きなニュータウンを形成している。人口は平成27年6月1日現在、7万3496人。そのかなりの部分がニュータウンに住んでいると思われる。

無鉄砲本店・とんこつラーメン

もう一つの特徴は、奈良に近いことだ。木津川の中心部と奈良市の中心部の距離はわずか5〜6キロ。市役所のある木津駅と奈良駅は2駅、電車でも車でも10分である。平城宮跡、興福寺、東大寺などがウォーキングやジョギングで行ける範囲であり、自転車ならさらにすぐそこである。木津川市は山城国ではあるが、古代においても、この地域は平城京の郊外的位置付けであった。奈良の中心部から10キロほどに位置する恭仁京も奈良時代の都であり、元々甕原離宮があったところの近くに都を造ったのである。都道府県の境界は、一般的に河川や山など自然的なものによって作られていることが多いが、京阪奈丘陵を造成して開発されたこの地域は、都市がつながっている。と言うより、学研都市として一体である。東京周辺や阪神間ではごく当たり前の風景だが、京都で県境を越えて都市が大きな範囲で完全に連続しているのは、ここ木津川と、京都府八幡市の南部が大阪府枚方市の北部とつながっている2箇所だけだろう。

象徴的なのは、近鉄の高の原駅である。駅は奈良市、駅前のイオンは木津川市にある。駅周辺には精華町の一部もあり、奈良市・木津川市・精華町の住民が利用する駅である。木津川市民にとって、ふだん使っている駅や店や塾などが奈良側にあるような環境である。ここでは町が完全に融合している。

木津川市は交通の要衝でもある。特に鉄道はJRと近鉄が通っていて、JRは奈良線、学研都市線、関西本線が、近鉄は京都線が走っている。これらの鉄道は、京都市、奈良市、大阪のキタとミナミ、さらに三重県の亀山を経由して名古屋へとつながっている。このような鉄道環境は、京都府内では京都市に次ぐものである。これで、もしリニアが奈良と木津川の間辺りに通ることになれば、京都の表玄関は木津川市ということになるだろう。

地理的・歴史的な性格を反映して、観光資源は豊富である。ニュータウンを少し外れると、古墳、多くの文化財をもつ社寺、中世の城址などが散在する。特に加茂町は凄くて、恭仁京も加茂町だし、国宝の五重塔をもつ海住山寺、国宝の三重塔をもつ浄瑠璃寺、重文の三重塔をもつ岩船寺と、小さな町に五重塔が一つ、三重塔が二つある。もちろん木津町・山城町にも見るべきところは多い。歴史のある地域だから、ニュータウンの周辺や隙間に古い町や村を発見することも、木津川の町歩きの楽しみだろう。

笠庄・ローストビーフ弁当

さて、木津川のグルメである。木津川は、これまで京都美味倶楽部で特集してきたような古い町が都市の中核として発展した町ではない。紅灯ゆらめく歓楽街のような場所もほとんどない。件数的には圧倒的にニュータウンにあるレストラン、ベーカリー、カフェなどが多い。老舗は当然古い町の地区にあることが多いが、再開発とともにニュータウンに移転したりもしている。それら老舗を探すのも楽しみである。味のレベルは平均的に高い。

すでに述べたように木津川は奈良市と近接している。自治体の境界などたいした意味はないとも言えるので、奈良側にも美味しい店があれば紹介もしたいぐらいだが、一応京都美味倶楽部ということで、食べたとしても掲載は京都府内の店にとどめておくことにしよう。ちなみに奈良には観光客向けの店が多いが、木津川市にはマダム向け、ファミリー向けの飲食店が多いので、奈良の人も結構木津川に食べに来るようだ。

交通が発達しているので、電車で市内の大体どこにでも行ける。コミュニティバスも張り巡らされている。丘陵を切り拓いたところなので、地形が複雑なのも面白い。ニュータウンと古い町の景観のコントラストを楽しみながら食べ歩いてみよう。

言うまでもありませんが、この特集に取り上げているのは、木津川グルメのごく一部です。今後少しずつ充実させて行きたいと思っていますので、木津川の美味しい店の情報があれば、ぜひお寄せ下さい。本特集の情報を、地元の人はもとより、観光客や周辺地域の方々に利用して頂ければ幸いです。


  • new 内藤商店 ★★(テイクアウト・お弁当)

木津川1

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