京都市以外のグルメ情報を拡充する企画として、これまで亀岡市・宇治市とタウン特集のコーナーを設けてきたが、今回はその第三弾として、京都市周辺から離れ、丹後の舞鶴の味を巡ろうと思う。

舞鶴市は、京都府北部に位置する港町である。丹後最大の都市であり、アジアやロシアとの物流拠点としての国際貿易港にして、北近畿の行政経済面の中心的な役割を担う都市でもある。京都人にとって、丹後と言えば海だ。海水浴や釣りなど海遊びを楽しみ、蟹や寒ブリなどの海の幸を賞味する地として、丹後は昔から京都人にとって身近な地域であった。ところが、舞鶴市となると、丹後観光や海遊びを目的にする人間にとっては通過地点になってしまいがちである。しかし、これはあまりにも勿体無いことだ。舞鶴は街歩き、食べ歩きの魅力にあふれた都市だからである。

舞鶴市は、市街が西と東の二つに分かれているのが大きな特徴である。田辺藩の城下町であり、商港から発展した西舞鶴。近代海軍の軍港から発展した東舞鶴の二つである。西舞鶴には細川幽斎が築城した田辺城跡や古い町並が残り、国際貿易港・漁港がある。海上保安庁第八管区海上保安本部もある。一方の東舞鶴には、日本有数の海上自衛隊の基地がある。市街は京都市の中心部と同じく碁盤の目状になっていて、南北の通りは一条から九条の名を持ち、東西の通りは軍艦の名前なのも面白い。重要文化財に指定されている旧海軍ゆかりの赤煉瓦建造物群があるのも東舞鶴である。二つの舞鶴はＪＲで一駅、車で１０分ほどの距離しかないが、別々の港を持ち、歴史も雰囲気も違うし、人の気風も随分違うらしい。全く違う個性を持った二つの都市からなっているのは舞鶴の最大の特徴であり、魅力でもある。訪問者にとってはいずれの舞鶴もそれぞれの楽しみがあり、一粒で二度美味しい街である。西舞鶴・東舞鶴とも市街地のすくそばに海があり、歩いていると潮の香りがするのは共通している。

舞鶴には蟹・とり貝・岩牡蠣・万願寺唐辛子などの特産品があり、海軍ゆかりの肉じゃがのようなご当地グルメもあるが、ふだん着の舞鶴グルメの特徴として、平均点の高さが挙げられる。これは、海の幸が豊富な港町であるだけに、日常的に美味い魚を食っている市民の舌が肥えていることによる。もう一つ、食事処が多いのも舞鶴の特徴である。様々なジャンルの店が、同時に食事処（定食屋）を兼ねていることが多い。舞鶴は丹後の中で、ある意味孤島のような都市であり、すべてがそこでまかなわれ、消費される。様々なジャンルの飲食店が食事処でもあるのは何かそういう土地柄と関係しているのかもしれない。

二大グルメエリアである西舞鶴・東舞鶴には、美味しい店が驚くほどの密度で、さりげなく存在している。市民の舌が肥えているので、不味い店というものがほとんどんない。気軽に利用できる食事処が多く、しかも安い。食べ歩く楽しみの尽きない街である。

言うまでもありませんが、この特集に取り上げているのは、舞鶴グルメのごく一部です。今後少しずつ充実させて行きたいと思っていますので、舞鶴の美味しい店の情報があれば、ぜひお寄せ下さい。本特集の情報を、これから舞鶴を訪ねる方々、これまで素通りしていて地域密着型の店は利用していなかったという方々などに利用して頂ければ幸いです。